AXPpciマシンの作り方


竹岡 尚三 (AXE, Inc.)

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last update Jan/1999

目次

  1. はじめに
  2. 主要部品
  3. 起動実験
  4. SRMモニタへの変更
  5. 参考URL

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はじめに
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本文書ではAXPpciというDEC社が単体販売していた基板を使用して、 Alphaマシンを作り上げる方法を述べる。

ここで使用している部品については、他機種でも参考になることもあるだろう。

筆者は、かねてよりAlphaマシンを入手したいと考えていた。
そこにAXPpci33というボードが発売になった。

AXPpci33にはWindowsNT版とDEC UNIX版があった。
筆者はすかさずそのUNIX版ボードを入手し、DEC UNIXを入れ、使っていた。

AXPpci33上でDEC UNIXを動かした人間としては、筆者は日本ではかなり早い方 だったのではないかと自負している。しかし、DEC UNIXのライセンス料は只では なく、 WindowsNT版ボードが羨ましく思えた。
そしてフリーなBSDが出るのを待ちわびていたのだった。

以下では、フリーなBSDが動作するAlphaマシンを安価に作る方法を紹介する。


主要部品
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起動実験
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組み立ては、5V電源のコネクタ(3.3V用電源コネクタもある)を間違えなければ、 あとは各コネクタの1番ピンに注意するだけです。マザーボードに付属のマニュ アルをよくみれば、なにも難しいことはありません。

ジャンパJ8は、リセット・スイッチを本当のリセットとするか、割り込みとす るかの切り替えですが、我々には、リセットの方が便利なので、Reset (Pin1-2 ショート)にしておきます。

部品を組み上げたら、とりあえず電源を入れて起動実験を行います。一番最初 は、HDDはつないでおかない方がいいかも知れません。

異常がなければ、モニタ・ソフトウェアが起ち上がります。

UNIX版マザーボードならば、画面が暗いままの状態で数秒経過したあと、SRM モニタが起ち上がります。
SRMが使える場合は、NetBSDのインストールに進みます。

WindowsNT版マザーボードならば、ARCモニタが起動します。

ARCでハードウェアの確認をするには、

  1. "Boot menu:" において "Supplementary menu..."を選び
  2. "Supplementary menu:" において "Display hardware configuration"を選ぶ
とハードウェア一覧が表示されます。
接続してあるハードウェアがすべて表示されていれば問題ないでしょう。

AXPpci33のSCSIバスは高速動作を行うので、SCSIデバイスが見つからないこと があります。
そういう時は、ターミネーションを確認して、必ずSCSIバスの両端にだけター ミネータが存在するようにします。また、SCSIデバイスはパリティをイネーブル しておきます。

ハードウェアに問題ない場合、WindowsNTのインストールならそのまま始めら れます。(ちなみにWindowsNT V4 日本語ファイナルβは、このマシンで快調に動 作しています)


SRMモニタへの変更
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ARCモニタの場合は、NetBSDのために、モニタ・ソフトウェアをSRM にします。

ARCからSRMへモニタを取り換えるためには、ファームウェア・アップデイト・ ソフトウェアを入手しなければなりません。

ファームウェア・アップデイト・ソフトウェアはDEC社のftpサイト ftp://ftp.digital.com/pub/DEC/Alpha/firmware/ から入手可能です。

本稿執筆時点での最新ファームウェア格納ディレクトリ

 ftp://ftp.digital.com/pub/DEC/Alpha/firmware/v3.7/decaxppci33/
には、以下のようなファイルがあります。
-r--r--r--   1 0        0         904704 Aug 19 08:11 decaxppci33_v1_4.exe
-r--r--r--   1 0        0         905216 Aug 19 08:11 decaxppci33_v1_4.sys
-r--r--r--   1 0        0         903168 Aug 19 08:11 decaxppci33_v1_5.exe
-r--r--r--   1 0        0         903680 Aug 19 08:11 decaxppci33_v1_5.sys
-r--r--r--   1 0        0           1854 Aug 19 04:04 fwreadme.txt
 
ここではv1.5を使用しました。

以下、ARCでのファームウェア・アップデイト・ソフトウェアの使用方法です。

  1. decaxppci33_v1_5.exeをgetします。

  2. 1.44MBytesのDOSファイルシステムのフロッピにdecaxppci33_v1_5.exeを FWUPDATE.EXEという名のファイルとして書き込みます。
    FreeBSD等でmtoolsがインストールされている環境なら、
    	% mwrite decaxppci33_v1_5.exe a:fwupdate.exe
     
    とします。
    当然ながら、この作業は、DOS FATファイルシステムがアクセスできるなら、 どんなシステムで行っても構いません。

  3. フロッピをAlphaマシンのフロッピ・ドライブに入れ、ARCの
    1. "Boot menu:" において "Supplementary menu..."を選び
    2. "Supplementary menu:" において "Install new firmware..."を選ぶ。
    すると、自動的にCD-ROMとフロッピをチェックし、フロッピからアップデイ ト・ソフトウェアをロードした後、それに制御を移します。

  4. プロンプトが表示されたら、アップデイトコマンドでモニタをSRMにします。
    	Apu-> u srm
     
    イメージをRAMにロード、ベリファイ後、最終確認プロンプトが出るので、
    	APU-I ****** READY TO PROGRAM DEVICE ? (Y/N ) ****** y
     
    'y'を入力します。このあと、電源異常などでシステムが落ちないように緊 張しながら待ちます。:-)
    	Rom Update Successful
     
    と表示されたら終了です。

  5. 自動的にベリファイされていますが、気休めにベリファイするのもいいでしょう。
    	Apu-> v srm
     


  6. ハード・リセットすると、次からはSRMが起動します。
これで、NetBSDのインストール準備完了です。

また、万が一、ARCに戻したくなった時のために、 ftp://ftp.digital.com/pub/DEC/axppci/fw_v1_4.image も入手しておくべきです。
これは、SRMでブート可能なfirmware V1.4のフロッピ・イメージです。このイ メージがなければ、SRMをARCに戻すことはできません。

このイメージをfwupdate.exeから作ることは、DEC UNIXが稼働していれば可能 です。が、そういう環境はめったにないでしょうから、イメージで入手しておき ましょう。

このイメージを、FreeBSDなどで、

	% dd if=fw_v1_4.image of=/dev/rfd0a bs=40960
 
などとしてフロッピに書き込みます。
このフロッピはSRMでブート可能です。

SRMからフロッピをブートする場合には、

	>>>b dva0
 
とします。

ここで作成したフロッピはFlashROM内のモニタが壊れた時の修復にも使用でき るので重宝します。(モニタが壊れた時には、SROM SelectジャンパJ29の1-3 を ショートし、このフロッピをブートに使用して、モニタを修復できる)


参考URL
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(たけおか しょうぞう AXE, Inc.)



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